エキサイト

彼は痛い痛いと人目も憚らず悲鳴を上げた。 昨日怪我したばかりだ、という傷口をわたしが抓り上げたからだ。 「どうしてそういうことをするの?」「されて嫌な気持ちになることはしてはいけない」 そう真面目に諭す彼を見て、わたしはマスクの中でニタリ、と…

泥水の中で

手の届かない鳥がいる。 美しくもなければ、綺麗な声で鳴きもしない、どこにでもいる鳥がわたしは大好きだった。 どうしても飼い殺しにしたいのに、どうしても手が届かない。 ただただ永いこと、自由に飛び回る醜いその鳥に執着していた。 鳥がキズモノにな…